プレスリリース

大阪公立大学・(株)ダナフォーム・コンゴ民主共和国/国立生物医学研究所(INRB)がエボラウイルス病携帯型迅速診断システムの開発に着手

リリース発行企業:株式会社ダナフォーム

情報提供:

配信先:大阪科学・大学記者クラブ、文部科学記者会
厚生労働記者会、科学記者会、横浜商工会議所・横浜経済記者クラブ                                                                                
                              報道解禁日 2026年7月17日15時
                              大阪公立大学
                              株式会社ダナフォーム


小型で軽量なGenPad(R)


【概要】
大阪公立大学大学院医学研究科 ウイルス学の城戸 康年教授と、株式会社ダナフォーム(K.K. DNAFORM)およびコンゴ民主共和国の国立生物医学研究所(INRB)は共同で、ブンディブギョウイルス(Bundibugyo virus:BDBV)によるエボラウイルス病(エボラ出血熱)の流行に対応する迅速診断(Point-of-Care Testing:POCT)システムの開発を進めています。本研究開発は、公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)の支援を受けて実施されます。
2026年5月17日(日本時間)、世界保健機関(WHO)は、コンゴ民主共和国およびウガンダにおけるBDBVによるエボラウイルス病の発生について、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(Public Health Emergency of International Concern:PHEIC)」を宣言しました。本研究チームはPHEIC後、速やかに開発体制を立ち上げ、(株)ダナフォームが防衛装備庁 安全保障技術研究推進制度の支援で開発中の技術を用い、開発開始から約40日でBDBV用検査キットのプロトタイプを作製し、初期の実験室評価において目標性能を確認しました。これは、WHOのPHEIC宣言から「100日以内」に、診断薬・治療薬・ワクチンなどの「感染症危機対応医薬品等(Medical Countermeasures:MCM)」の実用化を達成しようという国際的な目標「100日ミッション」に沿った初期のマイルストーンを加速化し、産学官および国際共同研究ネットワークを活用した迅速な研究開発体制の実践例です。


【BDBVによるエボラウイルス病の診断課題】
エボラウイルス病は致死率が高く、繰り返しアフリカ各地で流行を引き起こしてきました。BDBVはエボラウイルス属の一つで、ザイールエボラウイルスとは異なるウイルスです。そのため、ザイールエボラウイルスを標的とする既承認ワクチンや診断系の知見をそのまま適用できるとは限らず、BDBVを確実に検出・識別できる検査体制が求められています。
現在の流行地では、検体輸送、電源、検査人材、バイオセーフティなどに制約があります。患者の近くで迅速に使用できる高感度・簡便な検査技術は、早期診断、隔離、接触者追跡、治療方針の決定を支える重要な基盤となります。


【100日ミッションに沿った開発体制:アウトブレイクへの即応】
「100日ミッション」は、新興感染症の発生確認から100日以内に、診断薬・治療薬・ワクチン等を使用可能な状態に近づけることを目指す国際的な目標です。本研究開発では、大阪公立大学が構築してきた海外拠点による共同研究ネットワークや研究基盤、(株)ダナフォームの携帯型核酸検査プラットフォーム開発技術、INRBの現地研究基盤を組み合わせ、アウトブレイクに即応できる開発体制を構築しています。本チームはPHEICの直後から開発体制を始動し、100日ミッションに沿った初期のマイルストーンを達成しつつあります。日本政府もグローバルヘルス戦略※として、このような体制構築に貢献しています。


【携帯型迅速診断システム GenPad Smart BDBVの特長】
本システムは、(株)ダナフォームが独自開発したSmartAmp等温PCR技術(Eprobe検出)をベースとするPOCTプラットフォーム「GenPad」を活用しています。大型機器が不要で、電源インフラが整備されていない流行現場でも使用可能な設計です。
・ WHO EUL関連文書で示される性能基準を踏まえ、初期の実験室評価ではLOD?200コピー/カートリッジを確認
・初期の実験室評価では、86の微生物種に対する交差反応性は観察されていません
・携帯型(460g)・電池駆動(7.2VDC、21.6Wh)で、1回の充電で8回の検査が可能
・採血から約30分で結果判定
・完全密閉カートリッジを採用し、検体操作の簡便化と曝露リスク低減を目指した設計
・複数デバイスのクラスター化連結可能で、同時多検体検査に対応



優れたPCR検査制度
小型で軽量(携帯型本体:460g)
1台ならスマートフォンでコントロール可能




  
     16台のクラスターを1台のPCで
     コントロール可能



GenPad16台をクラスター化


【開発中のプラットフォーム紹介動画】
https://www.dnaform.jp/ja/GenPad/Product/BDBV
(動画参照)
※開発中のエボラウイルス病(ブンディブギョウイルス)対応GenPadカートリッジの紹介動画です。本品は現在開発・評価中であり、臨床使用・販売を目的としたものではありません。


【これまでの研究の背景】
大阪公立大学は、2020年からAMED「コンゴ民主共和国における社会実装へのトランスレーショナルリサーチ拠点形成」事業の支援を受け、INRBとの共同研究体制を構築し、コンゴ民主共和国における海外研究拠点形成を進めてきました。これにより、現地研究者との連携、検体・情報の取り扱い、精度評価に必要な検証体制を迅速に立ち上げる基盤が整備されています。
また、2022年および2024年にPHEICが宣言されたエムポックスについても、AMED「オルソポックスウイルス感染症に対する血清疫学手法の開発を起点とした発症予防に資するヒト免疫機構の解明」事業などを通じ、INRBとともに新興感染症研究を推進してきました。さらに、2025年からは、大阪公立大学と(株)ダナフォームがAMED「携帯型高感度簡便PCRによるエムポックス迅速診断システムの開発」の支援を受け、携帯型核酸検査プラットフォームの開発ノウハウを蓄積しています。これらの信頼関係と開発基盤が、今回の短期間での開発を可能にしています。
基盤技術の一部は、(株)ダナフォームが同制度の支援を受けて開発してきた技術を基礎としています。本記載は、防衛装備庁による本品の性能、臨床使用、薬事承認を保証するものではありません。


【今後の計画】
本研究チームは、以下の開発と検証を段階的に進めます。
1.疑似検体(増殖せず感染性を持たないウイルス模倣物質:armored RNA)を用いた性能検証
2.コンゴ民主共和国において、現地研究者と協力した臨床検体による臨床性能検証
3.BDBV単独検査キットの開発を優先しつつ、BDBV、ザイールエボラウイルス、スーダンエボラウイルスを1カートリッジで識別できるマルチプレックス版の並行開発
4.WHO緊急使用リスト(Emergency Use Listing:EUL)等への申請予定
この2トラック並行開発戦略により、現在の緊急ニーズに応えるBDBV単独検査と、将来のエボラウイルス病アウトブレイクにも対応し得る汎用性の高い検査プラットフォームの構築を目指し、WHO等の国際機関との緊密な協調も行っていきます。


*今回のGHIT Fundの助成は、BDBV検出用プロトタイプの開発および性能検証等、承認済みの初期開発マイルストーンが対象です。本研究チームは、今後も産学官および国際機関との連携を通じて、感染症対策技術の研究開発を推進し、世界規模の感染症対策への貢献を目指します。


【GHIT Fundについて】
公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)は、日本政府(外務省、厚生労働省)、製薬企業などの民間企業、ゲイツ財団、ウェルカム、国連開発計画が参画する国際的な官民パートナーシップです。世界の最貧困層の健康を脅かすマラリア、結核、顧みられない熱帯病(NTDs)などの感染症と闘うための新薬開発への投資を行っています。治療薬、ワクチン、診断薬を開発するために、GHIT Fundは日本の製薬企業、大学、研究機関の製品開発への参画と、海外の機関との連携を促進しています。


【参考情報】
AMED採択事業
■ 新興・再興感染症研究基盤創生事業 海外拠点研究領域
「コンゴ民主共和国における社会実装へのトランスレーショナルリサーチ拠点形成」 (代表:城戸 康年)
https://www.amed.go.jp/program/list/15/01/001_003.html
■ 地球規模保健課題解決推進のための研究事業
「携帯型高感度簡便PCRによるエムポックス迅速診断システムの開発」 (代表:城戸 康年)
https://www.amed.go.jp/koubo/20/01/2001C_00104.html
■ 新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業 
「オルソポックスウイルス感染症に対する血清疫学手法の開発を起点とした発症予防に資するヒト免疫機構の解明」 (代表:加来 奈津子)
https://www.amed.go.jp/koubo/11/02/1102C_00111.html
■ 医学系研究支援プログラム
「免疫ダイナミクス解析コホート・AIを駆使して難治性疾患に挑むPhysician Scientist育成と研究力向上計画」 (分担施設代表:橋本 求)
https://www.amed.go.jp/program/03007/02_001.html

【研究機関・企業概要】
■ 大阪公立大学大学院医学研究科 ウイルス学・寄生虫学
ウイルス学/寄生虫学講座(城戸 康年教授)は、エムポックスやエボラウイルス病等の新興感染症やマラリア、顧みられない熱帯病に関するゲノム/血清疫学、宿主病態解析、医薬品開発等を専門としています。
https://www.omu.ac.jp/med/research/departments/virology/


■ 株式会社ダナフォーム(共同研究機関・製品化企業)
1998年設立の理研ベンチャー(本社:神奈川県横浜市鶴見区)。最先端の核酸技術を医療・社会へ実装することを使命とし、GenPadプラットフォーム(SmartAmp等温PCR、Eprobe検出技術)を開発・製品化しています。外部電源を必要としない電池駆動・携帯型で、高感度PCR相当の診断を目指すGenPadは、感染症診断の民主化を目指す革新的デバイスです。GenPadの製造および海外販売は、ダナフォーム社の100%子会社である株式会社Mirai Genomicsが行います。


■ コンゴ民主共和国国立生物医学研究所(INRB)(共同研究機関)
INRBはコンゴ民主共和国(キンシャサ)の国立研究機関であり、エボラウイルス病をはじめとする高病原性感染症の研究開発・感染対策において中心的な役割を担っています。所長のムエンベ=タムフム博士は、エボラウイルス病の発見・対策への貢献などの功績について日本政府より第3 回野口英世アフリカ賞(2019)を受賞しており、日本とも結びつきの強い研究機関です。


本プレスリリースに記載の日程・性能値は現時点での予定・目標値であり、今後変更となる場合があります。

※グローバルヘルス戦略は、健康・医療戦略推進本部(本部長:内閣総理大臣)が、2021年のG7サミットにおいて合意された「100日ミッション」について、日本として貢献を行っていくと記載された政府文書。

【研究内容に関する問い合わせ先】
大阪公立大学大学院医学研究科
教授 城戸 康年
TEL:06-6645-3761
E-mail:kidoyasu@omu.ac.jp

【取材に関する問い合わせ先】
大阪公立大学 広報課
担当:西野・永田
TEL:06-6967-1834
E-mail:koho-list@ml.omu.ac.jp

【株式会社ダナフォームに関する問い合わせ先】
株式会社ダナフォーム
〒230-0051 神奈川県横浜市鶴見区鶴見中央2-6-29
担当:高橋 秀幸
TEL:045-510-0607
E-mail:hideyuki.takahashi@dnaform.jp
Web:https://www.dnaform.jp/

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