綱島に唯一残る桃栽培農家「池谷家」で6月から、幻の桃と呼ばれる「日月桃(じつげつとう)」の収穫が始まった。
明治後期、同農家が海外から取り寄せた桃の苗木を綱島の風土と土壌に合う桃として品種改良して開発した「日月桃」。数々の品評会で受賞を果たしたことから「日月桃」をはじめ綱島の桃は人気を博し、綱島は昭和初期には岡山と並ぶ桃の二大生産地となった。その後、鶴見川の反乱や戦争の影響で綱島の桃は衰退したが、1998年に茨城県つくば市にある農林水産省の果樹試験場にその原木が残されていることがわかり栽培を再開した。
現在は約300坪の畑に、約70本8種類の桃を栽培。毎年6月に収穫できる「日月桃」は香りが高いのが特徴で、地ビールの原料にも使用されている。池谷家の池谷道義さんは「綱島にも新しい住民が増えているが、子どもたちは意外にも綱島の歴史に詳しい。そこで大人たちにもぜひ綱島の歴史と、その1ページに桃があることを知ってもらえたら」と話す。
7月中旬には甘味の強い桃「白鳳」の収穫時期となる。完熟で収穫するため輸送が難しいことから、朝採れた桃は畑近くのピーチゴルフセンター(横浜市港北区綱島東1)で販売する。