神奈川県立田奈高等学校(横浜市青葉区桂台2)のキャリア支援センターで実施されている就職のための有給職業体験プログラム「バイターン」で2月、初めて正社員の内定者が決まった。
「バイターン」とは、アルバイトとインターンを組み合わせた職業体験プログラムで、現在は同校のみで行われている。プログラム内では、就職を希望する生徒は、3日間の職場体験(無給)を行い、その後面接を経て非正規雇用(アルバイト)される。一定期間で互いに人間関係を作り、卒業後の雇用につなげることを目指す。
これまでに22人の生徒が3日間の職業体験を行い、15人が有給のバイターンに取り組んだ。2月には、女子生徒1人がアパレル企業の正社員に初内定した。
同プログラムは、県立田奈高等学校、シェアするココロ(横浜市都筑区中川中央2)、NPO法人ユースポート横濱(横浜市中区)、パソナ(東京都千代田区)、横浜市が運営協議体を組み、神奈川県の「新しい公共支援事業」の支援金を受けて実施している取り組み。企業開拓から生徒のフォローまで一貫して行っており、地元企業を中心に説明して回った結果、受け入れに協力する企業は約40社まで増えた。テレビや新聞で事業が紹介されてからは「何か役に立てることはないか」と直接電話をかけてきた経営者もいたという。
シェアするココロ代表の石井正宏さんは、「今は適性検査の数値で人を判断してしまうが、相性も含めそこにミスマッチが生じている。厳しくも温かく見守ってくれる仕事場と、学校の先生や支援者で作り出すバイターンは、昔ながらのお見合いのようなマッチング事業。縁があった職業体験から始まって人間の感情が動き始めると、非正規雇用であっても生徒たちが変わっていく」とこれまでの取り組みを振り返る。
4月からは支援金は無くなるが、事業継続を模索する。