
B1リーグの年間優勝を決めるチャンピオンシップ(CS)決勝第3戦が5月27日に横浜アリーナ(横浜市港北区新横浜3)で行われ、宇都宮ブレックス(以下、宇都宮)が琉球ゴールデンキングス(同、琉球)に73-71で競り勝ち、リーグ最多となる3度目の王者に輝いた。
昨年10月3日に開幕したB1リーグ。CSは、レギュラーシーズン60試合を勝ち抜いた8チームが2戦先勝のトーナメント方式で対戦。決勝初戦は81-68で宇都宮が、2戦目は87-75で琉球がそれぞれ勝利し、決着は3戦目に持ち越された。
立ち上がりは「出だしからシュートタッチが良かった」という琉球・小野寺祥太選手が3ポイント(P)シュートを2本沈めたほか、宇都宮のミスを誘う好守を見せる。宇都宮はD.J・ニュービル選手がリングへのアタックから得点を重ねるが3Pシュートの確率が上がらず、11-16とリードを許す。第2クオーター(Q)は、グラント・ジェレット選手がイン・アウト両サイドで得点を重ねるが、ミスマッチを突いたヴィック・ロー選手の得点やリバウンドからの速い展開で琉球が28-40とリードを広げて前半を折り返した。
後半立ち上がりは、ゴール下で合わせたギャビン・エドワーズ選手のダンク、フィジカル差を突いたジェレット選手の得点などで宇都宮が一時1点差に詰め寄る。琉球は脇真大選手がブザービーターでレイアップを決めるなどして、44-51とリードを保ったまま最終Qに突入した。
雌雄を決したのは宇都宮のダブルエースだった。じりじりと点差を詰めた宇都宮は残り約1分15秒、「やってきた練習などを信じて臨んだ」というニュービル選手の3Pシュートで逆転。さらに残り約33秒には比江島選手も3Pシュートを沈め、食らい付く琉球を退けた。
「ただがむしゃらにリングだけを見ていた」という比江島選手は最終Qだけで14得点を挙げた。シーズン途中で逝去したケビン・ブラスウェルヘッドコーチ(HC)のためにも優勝を目指した今季。「最後の3Pシュートもケビンが後押ししてくれたと信じている」と言い、試合終了後には天を仰ぎ「ケビンが築き上げてくれたこのスタイルで優勝できてうれしかったので、感謝を伝えた」と明かした。
ジーコ・コロネルHC代行は「素晴らしいパフォーマンスだった。だから僕らは彼を『コービー』(元NBA選手の故コービー・ブライアントさん)と呼んでいる」と称賛し、「苦しい状況でも諦めずに戦う気持ちを持ち続けることができたおかげ」と勝因を挙げた。
セレモニーでトロフィーを掲げたキャプテンの田臥勇太選手は「何度上げても最高。今回はケビンのことがあって、何としても優勝したいと望んだ。誰も諦めなかったという意味ではまた特別なトロフィーだった」と笑顔を見せた。
琉球の桶谷大HCは「試合巧者」と宇都宮を称えつつ、「勝ち負けがあることが残酷だが、うちの選手もよく戦った。(沖縄の子どもたちに)勝ち負け以上のエネルギーを与えられていたらいいな」と話し、小野寺選手は「このチームで優勝したかった」、脇選手は「勝ちゲームだった」と涙をのんだ。
4月に負傷しCSに出場できなかった琉球のエース・岸本隆一選手は「タフなスケールの中でチームのスタンダードの証明にもなった。みんなから勇気をもらうというか、心にくるプレーをしてくれた。もちろん望んだ結果ではないが、自分たちの課程はすごくいいものだった」とチームを誇り、「個人的にはプレーできかったことに対しては正直何もすっきりしていない」と悔しさをにじませた。