横浜市都筑区の南山田地域で7月19日、夏の到来を告げる伝統行事「虫送り」が行われた。
「虫送り」は、江戸時代から始まったといわれる日本の伝統行事のひとつ。南山田でも古くから行われており、戦後には一時中断したが、1976(昭和51)年に復活した。本来は稲の穂につく害虫駆除を追い払い豊作を願うものであったが、水田が少なくなった現在では、害虫ではなく町内の人々の災いを追い払う行事として引き継がれてきた。2005(平成17)年には横浜市指定無形民俗文化財に指定されている。
当日は、菊屋寝装店(横浜市都筑区南山田町)でたいまつに点火。笛、太鼓、鐘のおはやしを先頭に、たいまつを持った子どもたち約250人が列を作った。南山田町内会、子ども会、消防団、交通安全協会らの協力で安全に配慮ながら町内を練り歩いた。終点のなつみかん公園(都筑区牛久保2)では、たいまつの火を集めて大きな炎を作り、ひょっとこや獅子舞が舞うと参加者たちからは歓声があがった。
中心となる「虫送り保存会」の栗原毅会長は「都筑で虫送りを行っているのは南山田だけ。後継者問題など大変だが続けて行きたい」と話す。