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水耕栽培と魚養殖を合わせたイチゴ栽培システム アグリ王とアクポニが開発

栽培したイチゴ

栽培したイチゴ

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 年間を通してイチゴを栽培できるアクアポニックス栽培システムの販売を10月9日、アグリ王(横浜市港北区新横浜1)とアクポニ(中区)が始めた。

室内でイチゴの栽培と魚の養殖ができる

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 アクアポニックスとは水耕栽培と魚の養殖を合わせた循環型農業。養殖ででる魚の排せつ物を微生物が分解することで、養分が豊富な水を作り水耕栽培に使う。アクアポニックスを手がけるアクポニによると、水耕栽培で使った水は再び養殖の水槽に戻すことで、これまでの水耕栽培に比べて使用する水の量が減るほか、植物に使う養分液を調達する必要がなくなるという。

 室内で水耕栽培を行う植物工場事業に取り組んできたアグリ王では昨年から、アクポニと共同でイチゴ栽培に最適化したアクアポニックス栽培システムの実証実験を始めた。

 実験では、アグリ王社内に完全閉鎖型の試験農場を設置。イチゴ専用のLEDライトを取り付けた水耕栽培用の棚と一定の水質を維持できる水槽、ろ過循環器で約1年間、イチゴ(品種は「よつぼし」)とニシキゴイを育てた。両社によると、一般的なイチゴの平均糖度は10度だが、この栽培システムでは平均糖度15度の甘いイチゴを年間を通して栽培できることが実証できたという。

 販売する栽培システムは、最小設置面積が約5平方メートル。栽培可能なイチゴは30株で養殖可能な魚の数は5~10匹。月に約5.5キロのイチゴを生産することができる。価格は177万円から。

 アグリ王統括部長の石田健治さんは「現在、食品の残りかすなどを養殖餌として利用できるように実証実験を進めている。今後はアクアポニックスを軸として、地域社会での資源循環システムの構築を実現させたい」と話す。

 アクポニ研究開発部の怒和亜理寿さんは「農薬や化学肥料に頼ることのないイチゴの栽培を実現できた。実証実験では養液栽培との比較も行ったが、同程度の収穫量が得られ、改めてアクアポニックス産イチゴの可能性を実感している。持続可能な農業への関心が高まる中で今後、アクアポニックスを活用したイチゴ栽培の導入事例が増加することで、より多くの消費者においしいイチゴを提供できるようになれば」と同システムに期待をかける。

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